少し前に、ジェイン・ジェイコブスが書いた本を読んだ。「発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学 (ちくま学芸文庫)」という本。新しい経済学が指し示す数学を駆使した経済運動解説より、数百倍しっくりきた。あまり偉そうに言えないのは、そっち「数学を駆使した経済運動解説」の方は、詳しく読み込んでないので。
このジェイン・ジェイコブスさん、特徴的だと思うのが、存在する文献から、事象から答えを紡いでゆくスタイル。これだから、数学理論が理解できない私でも腑に落ちるのだろう。
そのジェイン・ジェイコブスの本の中で「輸入置換」という言葉がある。どこかで作られている「価値のある商品」は、手に入れるためには輸入するしかないのだが、「輸入置換」の条件が整う街では生産できる様になる。これでお金の流出が減り、反対に流入が増えその街は豊かな街になる。しかし、簡単には行かないのだけれど。
発展する街の特徴は機能がコンパクトに整っているそうだ。付加価値の高いものを生み出すにはいろんな技術が集積してる必要があると。そういう条件があってこそ、「輸入置換」も可能となる。必要十分な機能を備えたコンパクトな街はこの様に発展してゆく、という段取り。
海外の記事とかで最近よく目にするのがこれ。15分都市、5分都市など、ある一定の距離感で全て賄われている「街の機能はコンパクトに」とすごく宣伝してる。海外の行政機関(?)が掲げた計画など。タイトルだけで、本文まで読んではいないけど、確かに必要なものがコンパクトに(例えば徒歩圏内に)まとまっているのは魅力的。彼女は、発展する街はコンパクトで住人のコミュニティーがしっかり存在する、とも書かれている。距離感はコミニュティ形成も担保する感じ。
彼女が生きたのは少し前の世界で、通信技術の違いは想像以上に大きな影響をもたらせているとは言え、現代においても、中央集権的な通貨に対して、地方分権的な仮想通貨に代表されるネットワーク技術という構図で考えると、何やら光がある気がしてくる。
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