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英国のデザイン政策を調べていたら、色々考え始めた。2:redfrog greenfrog STUDIO

  • redfroggreenfrog
  • 2 時間前
  • 読了時間: 5分

Creative Clusterは「何」なのか?


前回、英国のCreative Clusterについて調べ始めたきっかけを書きました。そもそも私が最初にこの言葉を見たとき、「Creative Cluster」という言葉から想像したのは、クリエイターが集まっている場所でした。例えば、古い工場を改装した建物にデザイナーや映像作家、ゲーム開発者などが入居していて、その周辺にカフェやギャラリーがある。そんな光景です。実際、世界にはそのような場所もありますし、「クリエイティブな人が集まる街」という言葉にも何となく納得できます。


ところが、英国の政策について調べていくと、どうもそれだけではないようです。大学があり、研究者がいて、企業があり、クリエイターがいて、行政や支援機関が関わり、そこへ投資や新しい事業が生まれていく。重要なのは「誰がどこにいるか」だけではなく、「そこにいる人たちの間で何が起きるのか」ということらしい。



そこで、またAIに聞いてみました。


「Creative Clusterというのは、結局のところ何なのでしょう?」


AIは少し考えてから、こんな答えを返してきました。


「場所というより、関係性の集合体と考えた方が近いかもしれません。」


「関係性?」


「はい。大学が研究をする。企業が課題を持ち込む。研究者と企業が共同で実験する。クリエイターがそれを別の形に翻訳する。そこで生まれたものに投資する人が現れる。そして、その経験が次の企業や研究者へ伝わっていく。こうした循環が続いている状態です。」


なるほど、と私は思いました。


そう考えると、「Cluster」という言葉の意味も少し違って見えてきます。単純に人が集まっているのではなく、人と人、企業と大学、研究と市場、技術とデザインなどが近い距離で接続されている。その接続から、新しい組み合わせが生まれる。


これはクリエイティブ産業に限った話ではありません。


例えば、ある町に高度な加工技術を持つ企業があったとします。その技術だけを見れば、非常に優秀な企業です。しかし、その技術を別の業界の人が知る機会がなければ、新しい用途は生まれません。大学の研究者がその技術を知れば、新しい研究につながるかもしれない。デザイナーが知れば、これまでとは違う製品を考えるかもしれない。海外の企業が知れば、新しい市場につながるかもしれない。


つまり、価値そのものだけではなく、「価値と価値が出会う確率」を高めることにも意味がある。


ここまで考えると、Creative Clusterは少し面白い存在に見えてきます。


「人を集める」のではなく、「出会いが起こる確率を上げる」。


そして、さらに興味深いことがあります。


一度の出会いで、必ず新しい事業が生まれるわけではありません。むしろ、ほとんどの場合は何も起こらないのかもしれません。それでも、何度も顔を合わせ、話をし、失敗し、別の人を紹介され、しばらくしてから「あのとき話していたことが、今になってつながった」ということが起こる。


そう考えると、Clusterを作るという仕事は、意外に気の長い仕事です。


建物を作ることなら、完成すれば目に見えます。イベントなら、参加者数を数えることができます。しかし、人と知識の関係を育てることは、成果がすぐには見えません。


それでも英国では、こうした「つながり」そのものを産業政策の一部として扱ってきたようです。


ここで、また一つ疑問が生まれました。


「では、そのつながりを誰が作っているのだろう?」


大学が自然に企業を見つけてくるのでしょうか。企業が大学へ相談するのでしょうか。行政が間に入るのでしょうか。それとも、別の誰かがいるのでしょうか。


調べていくと、ここに非常に興味深い仕事が存在することが分かってきました。


研究者と企業をつなぐ人。大学の研究を社会へつなぐ人。企業の課題を研究テーマへ翻訳する人。異なる分野の人を紹介し、新しいプロジェクトを組み立てる人。


英国では、こうした役割が、単なる「事務局」ではなく、専門的な仕事として存在しています。


私はここで、少し考え込んでしまいました。


展示会の仕事でも、実は似たことをしています。


企業から「こういうブースにしたい」と相談されても、その言葉をそのまま形にするだけでは仕事になりません。「なぜそうしたいのか」「誰に何を伝えたいのか」「その企業にとって、この展示会は何なのか」を聞き出していく。場合によっては、企業自身もまだ言葉にできていないことを整理して、空間に翻訳する。


もし、空間をデザインすることと、異なる専門性をつなぐことに共通する部分があるのだとしたら、デザイナーの仕事も、少し違って見えてきます。


もしかすると、これからのデザイナーは「形を作る人」だけではなく、「人と知識をつなぐ人」になる可能性もあるのではないか。


もちろん、これはまだ私自身の仮説です。


ただ、Creative Clusterについて調べ始めたことで、私の関心は「英国のクリエイティブ産業はなぜ成功したのか」から、少しずつ別の方向へ動き始めています。


「誰かが、誰かと出会うことで、新しい価値が生まれる。その出会いを偶然に任せず、少しだけ増やすことができるとしたら、それは一つの産業政策になり得るのではないか。」


そして、もしそうだとしたら、必要なのは大きな施設だけではないのかもしれません。


もしかすると、たった数人の人間からでも始められるのではないか。


そう考えると、Creative Clusterという言葉が、最初に想像した「クリエイターが集まる場所」から、ずいぶん違ったものに見えてきました。


人が集まるからClusterになるのではない。


人と人の間に、新しい関係が生まれ続けるからClusterになる。


そんなふうに考えてみると、少し面白くなってきます。


次回は、では実際に英国では、誰がこの「人と知識をつなぐ役割」を担っているのか。そして、その仕組みには、どのような人や組織が関わっているのかを調べてみたいと思います。


※この連載は、筆者とAIとの対話を通じて生まれた思考の記録です。

 
 
 

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